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財産狙いの裏切り婚約者 の小説カバー

財産狙いの裏切り婚約者

資産家の令嬢である私は、遺伝性の持病を抱えながらも、亡き両親が将来を託した婚約者・海翔を信じ抜いていた。しかし、同僚の結実と彼が密会する写真が届いたことで、幸福な日常は崩壊する。帰宅した私を待っていたのは、我が物顔で抱き合う二人の裏切りだった。海翔は豹変し、母の形見である大切なオルゴールを無残に破壊すると、発作に苦しむ私に不動産譲渡の契約を迫る。さらに結実は、妊娠していると嘘をつき、自ら転倒して流産を装うことで、私を殺人犯に仕立て上げようと画策した。愛した男の目的は私の財産だけであり、信頼した同僚は偽りの罪で私を社会的に抹殺しようとしている。母の遺品さえ粉々に打ち砕かれ、絶望の淵に立たされた私だったが、彼らはまだ致命的なミスに気づいていない。私がサインした書類は法的な効力を持たない無価値な紙切れであり、守るべき全財産はすでに海外の口座へと移されているのだ。欲に溺れた裏切り者たちへの、静かな反撃が今ここから始まる。
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章 2

浅田梓紗 POV:

嫉妬?

私が?

私は, この男のために, どれだけの時間を無駄にしてきただろう.

私の愛は, 彼にとって, ただの道具でしかなかったのだ.

「あなたは, 私の心を踏みにじった」

私の声は, 震えていた.

怒りではなく, 悲しみで.

結実が, 海翔の腕にしがみついた.

「梓紗さん, もう諦めてください」

彼女は, 勝利に酔いしれた顔で言った.

「海翔は, もうあなたのものじゃないわ」

私は, その言葉に何も感じなかった.

ただ, 早くこの場を立ち去りたいと願った.

海翔は, 私の手首を掴んだ.

「梓紗, 君は僕の婚約者だ! 彼女の連絡先を消せ! 」

彼の目は, 狂気じみていた.

私は, ため息をついた.

こんな男と結婚するはずだったなんて.

私は, 彼の要求通りに携帯を取り出し, 結実の連絡先を削除した.

彼らが, これ以上私の人生を汚すのはうんざりだった.

「これで満足? 」

私は尋ねた.

海翔は, 私の顔をじっと見つめた.

「梓紗, 君は僕を愛しているはずだ」

彼は, 自分に言い聞かせるように言った.

「僕たちは, 明日から一緒に暮らそう」

その言葉に, 結実の顔が輝いた.

「海翔! 本当に! ? 」

彼女は, 喜びを隠せないようだった.

私は, 彼らの戯言に耳を傾ける気力もなかった.

もう, 私は独りではない.

この世には, 私を傷つける者も, 私を裏切る者もいない.

私は, 再び森山さんに連絡を取った.

「あの物件, すぐにでも売却を進めてほしいの」

私の声は, 決意に満ちていた.

森山さんは, 私の言葉に驚いたようだったが, すぐに承諾してくれた.

私の持つ莫大な不動産資産は, 驚くほどの速さで売却された.

現金化された資金は, 全て海外の口座に送金された.

私がこの国を離れる準備は, 着々と進められていた.

海翔は, 私が彼の言葉に従って, 彼のもとに戻ってくると思っていたのだろう.

彼は, 私を完全に無視した.

しかし, それは私にとって, 何の苦痛でもなかった.

むしろ, 彼がいなくなることで, 私の心は解放されていった.

出発の日.

私は, スーツケースに荷物を詰めていた.

母が遺した, ガラス細工のオルゴール.

父と母と, 三人で写った家族写真.

それだけが, 私の心の支えだった.

「梓紗! 」

突然, ドアが乱暴に開かれた.

海翔が, 息を切らせて立っていた.

彼の目には, 怒りと焦りが混じっていた.

「何をしているんだ! ? 」

彼は叫んだ.

「僕を裏切るつもりか! ? 」

私は, 彼の言葉に何も感じなかった.

「裏切ったのは, あなたでしょう? 」

私の声は, 冷たかった.

海翔は, 私の言葉に激昂した.

「この家は, 僕のものだ! 君は僕から何も奪えない! 」

彼は, 私に詰め寄った.

私は, 冷静に彼を見つめた.

「この家は, もう私の名義じゃないわ」

私の言葉に, 海翔の顔から血の気が引いた.

彼は, 私が彼から全てを奪い去ったことに気づいたのだ.

「嘘だ! そんなはずは…」

彼は呟いた.

「あなたが欲しがっていたものが, これだったの? 」

私は, 母のオルゴールを手に取った.

「これを見ても, 何も感じないのね」

海翔は, 私の手からオルゴールを奪い取った.

「こんなガラクタ, 何の価値があるんだ! 」

彼は, オルゴールを床に叩きつけた.

ガラスの破片が飛び散り, オルゴールの優しい音色が途切れた.

私の心臓が, 締め付けられるように痛んだ.

母の形見が, 彼の手で壊された.

「やめて! 」

私は叫んだ.

彼の暴挙に, 私の神経系の持病が反応した.

激しい光と音, そして, 心の痛み.

全身が, けいれんし始めた.

海翔は, 私の苦しみを嘲笑うかのように, 薬の瓶を手に取った.

「この薬が欲しいなら, 僕の言うことを聞くんだ」

彼は, 冷酷な目で私を見下ろした.

「この不動産の譲渡契約書に, サインしろ」

彼の言葉は, 私の耳には届かなかった.

私の意識は, 薄れかけていた.

私が生きるために, この男の要求を飲むしかないのか.