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契約結婚、期限切れのはずが?――長谷川社長が毎夜跪いて更新を懇願してくる の小説カバー

契約結婚、期限切れのはずが?――長谷川社長が毎夜跪いて更新を懇願してくる

信じていた婚約者と実の妹に裏切られ、家産まで奪われそうになった榊原詩織。愛という名の茶番に絶望した彼女は、復讐を果たすべく、冷酷非道な「悪魔」と恐れられる長谷川彰人と結婚契約を交わす。周囲は詩織の末路を嘲笑うが、蓋を開けてみれば、彰人は彼女を狂おしいほどに甘やかし、溺愛する日々が待っていた。妹が彰人を「馬の骨」と蔑み、元婚約者が「愛人でいろ」と吠えても、彰人は圧倒的な富と力で詩織を揺るぎなく守り抜く。これは目的を果たすための偽りの芝居――そう自分に言い聞かせ、詩織は決して心を開くまいと誓っていた。しかし、ついに迎えた契約終了の日、彼女を待っていたのは自由ではなかった。彰人は詩織を寝室へ閉じ込め、一晩中その腕から離そうとしない。契約違反だと抗議する彼女に対し、彰人は熱を帯びた瞳で唇をなぞり、一生の契約更新を懇願する。期限切れから始まる、危険な男の執着と真実の愛が幕を開ける。
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章 1

この街の深夜、土砂降りの雨が降り注いでいた。

榊原詩織がホテルに駆けつけた時、全身はびしょ濡れで、髪は乱れて顔に張り付いていた。

彼女は身なりを整える暇もなく、抱きかかえた袋の中身をうつむいて確認した。

三十分ほど前、婚約者の有馬明彦からメッセージが届いた。 シャツに赤ワインをこぼしてしまい、明日急ぎで使うから新しいものを届けてほしいという内容だった。

雨は突然降り出したため、詩織は車を降りる際に傘を持っていなかった。 幸い、明彦の新しいシャツをコートの中にしっかりと包んでいたため、シャツは濡れることもなく無事だった。

彼女は足早に階を上がり、明彦の部屋を見つけた。

ドアは完全に閉まっておらず、わずかに隙間が空いていた。 もうすぐ明彦に会えると思うと、詩織の胸は甘い期待で満たされ、そっとドアを押して開けた。

その瞬間、ドアの陰から伸びた力強い腕が、彼女を乱暴に部屋の中へと引きずり込んだ!

視界は一瞬で闇に包まれ、次の瞬間、熱を帯びた体が彼女の上にのしかかってきた。 男の大きな手が彼女の首を締め上げ、悲鳴を上げることもできない。

「俺に薬を盛るなんて、死にたいのか?」

怒りと冷酷さに満ちた声が頭上から響き、詩織は目眩がするほど震え上がった。

これは明彦の声ではない!

一体誰? なぜ明彦の部屋にいるの?

巨大な恐怖が詩織を襲った。 彼女は必死に男の手首を掴み、苦し紛れに言葉を絞り出す。 「あなたなんて知らない……私は婚約者に会いに来たの……」

「はっ、まだ嘘をつくか!」

男はもう我慢の限界だったのか、顔を近づけて彼女の唇を噛みついた。 その力は罰を与えるかのようで、すぐに血の味が二人の唇の間に広がった。 しかし、その甘美な血の匂いが、かえって男の欲望をさらに掻き立てた。

彼女の首を締めていた手はゆっくりと緩み、次の瞬間、彼は彼女を抱き上げてベッドに放り投げ、その上にのしかかった。

「やめて……」

詩織の悲鳴は、男の唇にすべて飲み込まれた。 冷たく湿った彼女の服は乱暴に剥ぎ取られ、彼女の体はまるで燃え盛る炎の中に投げ込まれたかのようだった。 この冷たい雨の夜に、彼女は彼と共に燃え尽きることを強いられた……

三時間後、土砂降りの雨はようやく止んだ。

男は詩織の上から体を離した。 裸になった上半身には、先ほどの激しさを物語るかのように、赤い爪痕がいくつも刻まれていた。

詩織は布団の中で身を縮め、情事の後の名残である潮紅を顔に残し、痩せた体は小刻みに震えていた。

暗闇の中、 男の嘲るような声が響く。 「俺が初めての男じゃないだろう? 俺の前で清純ぶるな」

彼は詩織の顔を見るのも嫌だというように、そのままバスルームへと向かった。

シャワーの音が響き渡る。 詩織のぼんやりとしていた視線に再び力が宿り、彼女はバスルームの方向を睨みつけた。 その視線は、まるでドアに穴を開けるかのようだった。

彼女は力なく体を起こし、手探りで部屋の電気をつけた。 そして、床に落ちていたスマートフォンを拾い上げた。

ロックを解除すると、画面には無数の不在着信とメッセージ通知が表示された。

メッセージの内容を確認した瞬間、詩織の顔は真っ青になった。 彼女は急いで服を着ると、振り返ることもなく部屋を飛び出した。

しばらくして、長谷川彰人がバスローブを羽織り、長い脚でバスルームから出てきた。 満足げな男の目は気だるげで、全身からリラックスした雰囲気が漂っていた。

不意に、彼の足が止まった。 誰もいない明るい部屋を見渡し、危険な光を宿して目を細める。

彼は足早にベッドサイドへ行き、布団をめくった。 案の定、ベッドには誰もいなかった。 ただ、シーツの上に小さな鮮血の跡が残されているだけだった。

男はわずかに呆然とした。

この女が初めて?ありえない。 彼はスマートフォンを取り出し、電話をかけた。 その声は氷のように冷たい。

「今夜俺を嵌めた女が逃げた。 すぐに捕まえてこい。 俺が直接尋問する」 電話の向こうの部下は、わけがわからないといった様子で答えた。

『報告します。 その女は一時間前にすでに我々が捕らえました。 今すぐそちらへお連れしましょうか?』

彰人の濃い眉がぎゅっと寄せられる。 「一時間前だと?」

『はい。 あなたの弟がコールガールを買収し、あなたの部屋に潜り込ませて、あなたが彼女を強姦したかのように見せかけ、あなたの評判を落とそうと計画していたことが判明しました。 しかし、その女がホテルに入る前に、我々の部下が捕らえました……』

部下は説明を終えると、恐る恐る尋ねた。 『あの……あなたが言っているのは、どの女性のことでしょうか?』

彰人は一瞬、沈黙した。

彼が言っている女とは誰のことだ?

彼自身にもわからなかった。

彼は再びシーツの上の跡に目をやった。 その血痕が、突然、ひどく目に突き刺さる。

男の呼吸がぴたりと止まり、喉の奥から窒息感がこみ上げてきた。

まさか、本当に彼女を冤罪に陥れたというのか?

病院。

詩織はタクシーを降りると、 まっすぐ階を駆け上がり、 医師のオフィスに飛び込んだ。 ドアを開けるなり尋ねる。 「先生、メッセージに書かれていたことは本当ですか? 母と適合したドナーが、 本当にドナー提供を拒否したのですか?」

医師は深いため息をつき、頷いた。 「はい。 何度も説得を試みましたが、相手の方は体調が悪いの一点張りで、ドナー提供はできないと」

詩織は目の前が真っ暗になり、体がぐらりと揺れた。

彼女の母、清原和音は白血病を患っている。 数ヶ月前、ようやく適合する骨髄ドナーが見つかり、相手も快く同意してくれたため、詩織はどれほど喜んだことか。

移植手術は今日に決まっていた。 今、和音は術前の骨髄除去治療を終え、体内の骨髄造血機能は完全に破壊されている。 このタイミングでドナーが拒否することは、和音に死刑宣告をするに等しい!

「ドナーの方と話をさせてください」彼女の声は抑えきれないほど震えていた。

医師は困ったように言った。 「規定により、ドナーとレシピエントが直接接触することはできません」

では、 彼女の可哀想な母はどうなるというのか? ただ母が死んでいくのを、 指をくわえて見ているしかないというのか?

詩織は叫び出したかったが、医師を困らせても仕方がないことはわかっていた。

オフィスを出ると、彼女はすぐに明彦に電話をかけた。

有馬家はこの街で大きな力を持っている。 明彦なら、そのコネを使って、一時的に新しいドナーを見つけてくれるかもしれない。 たとえ一縷の望みでも……

電話は繋がった途端、すぐに切られた。

詩織は諦めきれず、もう一度かけた。

その時、静まり返った廊下に、突然、聞き覚えのある携帯電話の着信音が響いた。

詩織ははっとし、少し離れた場所にある、完全に閉まっていない病室のドアに目をやった。

明彦も病院にいる?

では、なぜホテルにいると嘘をついたのだろう?

無数の疑問が詩織の心に湧き上がる。 彼女は急いでドアに近づき、 開けようとした。 しかし、ドアの隙間から見えた光景は、 まるで鋭い刃のように、 彼女の目に突き刺さった。

ドゴーン。

轟音と共に、詩織の世界は崩れ落ちた。 彼女は全身が硬直し、その場から一歩も動けなくなった。