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あたたかいですね の小説カバー

あたたかいですね

現代の日本を舞台に、運命に導かれるようにして巡り会った男女が紡ぐ、切なくも温かな過去の恋の記憶。物語の始まりは、日常のなかに潜んでいたほんの些細な出来事でした。見知らぬ他人同士だった二人は、その偶然の出会いをきっかけに、少しずつ言葉を交わすようになります。最初は距離のあった二人の関係ですが、共に時間を過ごし、互いの内面に触れていくうちに、凍てついていた心は次第に解きほぐされていきました。いつしか二人の間には、他者には踏み込めない特別な絆と、穏やかで心地よい信頼関係が芽生え始めます。それは、どこにでもあるようでいて、二人にとってはかけがえのない、美しくも繊細な愛の軌跡でした。本作は、そんな二人が歩んだ日々と、心の奥底に刻まれた忘れられない恋愛模様を丁寧に描き出しています。ふとした瞬間に思い出す、あの時の体温や空気感。過ぎ去った時間の中で、彼らが何を感じ、どのようにして心を通わせていったのか。現代という時代を背景に、静かに、そして深く心に響く大人のための純愛ストーリーが、今ここにつづられます。
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3

「やっぱ風邪かぁ……」

 帰宅してすぐに体温計を脇の下に入れて、ピピピと鳴ってから取り出すと、微熱と言うには高すぎる39℃ほどあった。

 ボクは病院があまり好きではないのだけれど、流石にこの熱が出たら行かざるを得ない。ちょっと体がフワフワするので車の運転は控えて徒歩圏内のクリニックに向かう。

「もしかしたらインフルエンザかもしれないので一応検査受けてもらえますか?」

「あ、はい。わかりました」

 インフルエンザの可能性を失念していた。もしインフルエンザだったら更に酷い事になるのだろうか……?

「ふむ、インフルエンザではなさそうですね。とりあえず風邪薬と解熱剤を処方しておきますので風邪薬は毎食後に、解熱剤は熱が出た時に飲んでください」

 とりあえず一安心である。会計と薬を受け取り家に戻り塩おにぎりでも少し食べて薬を飲んで眠る。

 翌朝、寒気がして目が覚める。体温計を脇の下に入れてしばらく待つと昨日と同じ39℃。今日は大学を休もうと思い解熱剤をなんとかスポーツドリンクで飲み込みぐったりと横になる。

「なんだかなぁ……」

 ボクは独り言を呟いて再びベッドに潜り込む。

「こういう時って妙に不安になるんだよね」

 今度は敢えて独り言。少しでも不安を口にして吐き出しておけばメンタルにもいいかななんて思うからだ。

 そこからうだうだと時間を過ごして気が付いたら意識は落ちていた。

 目覚めると外はもう日が傾きかけている。処方薬と睡眠のおかげか多少体調が回復しているような気がする。

 食べられるうちに食事をするためご飯をセットして、マスクしてコンビニへと向かう。

「いらっしゃいませー」

 いつものコンビニだ。ボクはお茶漬けのもとやら簡単に食べられるものをカゴに入れてスポーツドリンクも多めに入れて会計を済ませる。

 帰宅して炊けているご飯にお茶漬けのもとを入れてお湯を入れて混ぜる。少し冷ましてから胃の中に入れる。そしてスポーツドリンクで風邪薬を飲んですぐに横になる。

「お風呂は明日入れるようなら入ろう」

 そんな独り言をこぼしてボクは再び眠りにつく。ちょっとした事でさえ今のボクの体力を削るのは容易いらしく、ボクはそのまま意識を手放す。

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