実は俺、超絶御曹司でした の小説カバー

実は俺、超絶御曹司でした

8.4 / 10.0
貧乏学生として学費を稼ぎ、ようやく入学した大学で恋をした主人公。しかし、彼女の裏切りと金銭的な屈辱を味わい絶望の淵に立たされる。そんな時、父親から明かされたのは、家が世界屈指の資産家であるという衝撃の事実だった。本作は、どん底から一転して『実は俺、超絶御曹司でした』と覚醒する痛快なbillionaireジャンルのmodern novelです。裏切った者たちへの逆襲と、真の力を手に入れた青年の運命を描く人気romance novelを今すぐチェック。
「実は俺、超絶御曹司でした」のあらすじ
極貧の家庭に育った俺は、大学進学の夢を諦めず、深夜までバイトに明け暮れ自力で学費を稼ぎ出した。念願のキャンパスライフが始まり、俺はクラスで誰からも愛される清純な美少女に恋をする。分不相応だと自覚しながらも勇気を出して告白すると、予想外に彼女は交際を承諾。幸せの絶頂にいたが、彼女から最初のプレゼントに高価なスマートフォンを要求される。俺はさらに身を削って働き、同級生の洗濯まで引き受けて必死に金を貯めた。ようやく購入資金が揃ったその日、俺は最悪の光景を目の当たりにする。彼女がバスケ部の主将と浮気をしていたのだ。貧乏人だと嘲笑われ、力でねじ伏せられた俺は、金がないだけで虐げられる理不尽な現実に絶望し、己の境遇を激しく呪った。しかし、寮に戻った俺に父から衝撃の事実が告げられる。「実はうち、とんでもない大富豪なんだ」。その日を境に、貧しさに喘いでいた俺の人生は一変する。かつて最も憎んでいた存在、すなわち世界屈指の資産を持つ超絶御曹司としての逆転劇が、ここから幕を開ける。
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実は俺、超絶御曹司でした 第1章

大学のキャンパス、体育館の中。

青いユニフォームを着た青年が体育館の入口に姿を現した。

青年は片手に麻袋を提げ、もう一方の手に軍手をはめ、腰を屈めてペットボトルを拾い上げ、麻袋に放り込んだ

「毎日バスケの試合があればいいのに。このボトルがあれば、さらに1000円は稼げる。そうすれば月末には、瑛美への誕生日プレゼントにスマホ買えるな」

成宮浩輔は興奮した面持ちで顔を上げ、フロアに散らばるペットボトルに視線を走らせた。

その時、ロッカールームから体格のいい男子学生の一団が現れ、それぞれがユニフォームや汗臭い靴下の詰まった大きな桶を抱え、浩輔の方へ歩いてきた。

「成宮、バスケ部全員のユニフォームだ。一桶200円で洗濯してこい」

先頭に立つ赤髪の男が煙草を咥え、足元に桶を放り投げた。

「同じバスケ部の一年だろ。この俺、広岡大河が気を使ってやってんだ。ほらよ」

大河が合図すると、他の者たちも汗の匂いが染みついたユニフォームや靴下を次々と床に投げ捨てた。

「お前がもっと稼げるように、わざわざチームの連中に一週間分溜めさせといたんだぜ。嗅いでみろよ、いい匂いだろ」

大河は汚れた靴下を一足つまみ上げ、浩輔に向かって投げつけた。

浩輔が避ける間もなく、靴下は彼の顔面に直撃し、鼻をつく酸っぱい悪臭が広がった。

「てめぇ……」

罵声を上げかけた浩輔だったが、ぐっと歯を食いしばって言葉を飲み込んだ。顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。

彼にとって、どんな収入も貴重であり、この機会を逃すわけにはいかなかった。

彼は裕福な家の息子ではなく、貧しい家庭に育った大学生なのだ。

コネも専門技術もない彼は、週末にアルバイトをする以外、学内で他の学生の洗濯やレポート代行を引き受けて収入を得るしかなかった。

そうして少しずつ、大学の学費と生活費を工面してきたのである。

これからも大河たちを頼りに生活費を稼がなければならない。浩輔は心の内で怒りと屈辱を押し殺し、顔から靴下を剥ぎ取って桶に放り込んだ。そして深く息を吸い込むと、広岡に手を差し出して言った。「全部で1000円だ」

大河は財布から千円札とコインを取り出して地面に投げ捨て、軽蔑的な笑みを浮かべた。「ほらよ。これは千百円だ。残りの百円は駄賃だ。ついでに校門で荷物を受け取って、キャプテンの桐生文哉に届けてくれ」

そう言うと、大河はバスケ部の連中を引き連れ、笑いながら去っていった。

浩輔は無表情で金を拾い上げ、拳を握りしめてため息をついた。

(広岡たちはむかつく連中だが、金が稼げるなら、これくらいどうってことない)

彼は手際よく麻袋を担ぐと、大学の外にある廃品回収所へ向かった。ボトルを売り払うと、その足で休む間もなく校門へ走り、 バスケ部のキャプテンである桐生文哉宛ての荷物を受け取って体育館へと届けに向かった。

道中、浩輔は今日稼いだ金を注意深く数え、満足感に浸っていた。先ほどの不快な出来事も、すっかり薄れていた。

もうすぐ恋人へのプレゼント代が貯まる。そう思うと、浩輔は自然と鼻歌を口ずさみ、足取りも軽くなった。

だが、ロッカールームの前に着いた途端、中から女性の喘ぎ声が聞こえ、ドアをノックしようとした浩輔の手が宙で止まった。

(この声、 どこかで聞いたことがある……!?)

ロッカールームから漏れ聞こえる声は大胆で、聞いているだけで顔が赤くなるほどだったが、聞けば聞くほど、浩輔の胸騒ぎは大きくなっていった。

その声は、最近付き合い始めたばかりの彼女、永井瑛美の声に酷似していたのだ。

「桐生さん、左、すごく気持ちいい……右もお願い」

「焦るなって、瑛美ちゃん。今日はセクシーなランジェリーを買ってきたんだ。後でそれを着てもらったら、もっと盛り上がるぜ」

再び声が聞こえた。今度は、先ほどよりもずっとはっきりと。

瑛美ちゃん? 永井瑛美!?

カッと頭に血が上り、浩輔はロッカールームのドアを蹴破った。

目に飛び込んできたのは、生涯忘れることのできない光景だった。

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