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実は俺、超絶御曹司でした の小説カバー

実は俺、超絶御曹司でした

極貧の家庭に育った俺は、大学進学の夢を諦めず、深夜までバイトに明け暮れ自力で学費を稼ぎ出した。念願のキャンパスライフが始まり、俺はクラスで誰からも愛される清純な美少女に恋をする。分不相応だと自覚しながらも勇気を出して告白すると、予想外に彼女は交際を承諾。幸せの絶頂にいたが、彼女から最初のプレゼントに高価なスマートフォンを要求される。俺はさらに身を削って働き、同級生の洗濯まで引き受けて必死に金を貯めた。ようやく購入資金が揃ったその日、俺は最悪の光景を目の当たりにする。彼女がバスケ部の主将と浮気をしていたのだ。貧乏人だと嘲笑われ、力でねじ伏せられた俺は、金がないだけで虐げられる理不尽な現実に絶望し、己の境遇を激しく呪った。しかし、寮に戻った俺に父から衝撃の事実が告げられる。「実はうち、とんでもない大富豪なんだ」。その日を境に、貧しさに喘いでいた俺の人生は一変する。かつて最も憎んでいた存在、すなわち世界屈指の資産を持つ超絶御曹司としての逆転劇が、ここから幕を開ける。
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章 2

更衣室。

そこには、グラマラスな恋人、瑛美が、顔を上気させ火照った体で文哉に寄りかかる姿があった。文哉の手は、大胆にも彼女の胸をまさぐっている。

「てめえら!」

浩輔の呼吸が、一気に荒くなった。胸を刺すような痛みと屈辱感が、心を蹂躙する。

情欲に溺れていた二人は、不意に響いた声にはっと我に返り、一斉に入口へと振り返った。

そこにいたのが浩輔だと気づくと、瑛美は一瞬慌てたような顔を見せた。「浩輔、どうしてここにいるの!」

「それはこっちのセリフだ。午後は親友と買い物に行くんじゃなかったのか? なんでこんな所にいるんだ!?」

浩輔は目を真っ赤にして怒鳴った。

瑛美の誕生日プレゼントに新しいスマートフォンを買うため、必死に食費を切り詰め、毎晩12時までバイトに明け暮れていた。その結果が、この裏切りだというのか。到底受け入れられるものではなかった。

瑛美は落ち着きを取り戻すと、恥じるどころか、嘲るように言った。「もうバレたなら隠さないわ。あんたみたいな貧乏人と、本気で付き合いたいとでも思った? 友達との賭けだったのよ。まさか本気にするなんてね!」

「俺は本気だったなのに」浩輔は信じられないといった表情で言った。

「本気だなんて、それが何になるの?それでご飯が食べられるわけ?あんたにスマホを一台ねだっただけで、一ヶ月も待てって言うじゃない。言っておくけど、桐生さんはとっくに最新のヴィトンのバッグもiPhone13も買ってくれたわ」

瑛美は言えば言うほど強気になり、その瞳には侮蔑の色が濃くなっていく。

文哉は千円札を一枚、浩輔の足元に投げ捨てて嘲笑した。「成宮浩輔、お前みたいな貧乏人が、瑛美のベッドに這い上がれるとでも思ったか。その千円で、外で安物の女でも抱いてこいよ」

「桐生文哉、てめえ……!」

目が血走り、もはや我慢の限界を超えた浩輔は、狂った雄牛のように文哉に突進した。

「逆らう気か。身の程知らずが!」文哉は冷たく鼻を鳴らすと、拳一つで浩輔を殴り倒した。

バスケットボール部のキャプテンである彼は身長190センチで、全身が筋肉の塊だ。浩輔も180センチと低くはないが、その屈強な肉体の前ではひよこ同然だった。

床に叩きつけられ、頬に激痛が走る。浩輔が起き上がろうとした、その時。

文哉は、容赦なくその顔を踏みつけた。「この底辺野郎が、俺に手を出そうなんて百年早いんだよ!踏み潰してやる!」

文哉は何度も、何度も顔を踏みつけた。

浩輔の顔はすでに靴跡だらけだったが、それでも怒りの雄叫びを上げ、もがきながら立ち上がろうとする。

文哉は浩輔の背中にどっかりと腰を下ろすと、椅子に置いてあった彼のリュックをひったくり、中から黒のサインペンを取り出した。

そして、浩輔の服の背中に「貧乏人」と書きなぐった。

すべてを終えると、文哉は床に這いつくばる浩輔に唾を吐きかけ、言い放った。「このクズが、よく覚えとけ。次逆らったら、見つけ次第叩きのめしてやるからな!」

そう言って、満足げに瑛美の手を引いて立ち去った。

浩輔が痛みに耐えながら寮に戻ると、汚れた彼の姿を見て、周りの学生たちが指をさしてひそひそと噂した。

心は、瑛美によってずたずたに引き裂かれていた。最も愛した人間にここまでされて、他人の嘲笑などどうでもよかった。彼の心は、完全に死んでいた。

浩輔は汚れた服を脱ぎ、背中の「貧乏人」という文字を洗い流す。

脳裏に、先ほどの光景が何度も蘇る。広岡大河の辛辣な言葉、桐生文哉の陵辱、そして永井瑛美の無情さ。

(どうりで、あの時手さえ繋がせてくれなかったわけだ……。恋人同士の、当たり前のハグすら拒んで。結局、俺が貧乏だから嫌っていただけだったのか)

込み上げる憤りと悲しみに、浩輔は無意識に拳を固く握りしめていた。